せりは春の七草に数えられる葉野菜で、独特のさわやかな香り。ビタミンCや食物繊維が豊富です。名取市では通年、適温で質のいい地下水が豊富に湧き出るため、きれいな水が不可欠なせり栽培が昔から盛ん。生産者の今野さんは「寒い日は田んぼから湯気が上がるほど、井戸水は温かい。水道水では冷たすぎるので、無理だろうね」と話します。旬の冬には、毎朝山ほど収穫し、朝どれ新鮮な「仙台せり」として各地に出荷します。
せりの栽培
今野さんの畑のすぐそばには、JR東北本線の線路が。電車とせり田のこんなのどかな風景が日常です。
収穫する
せり田には常に10〜15cmほど水がはられていて、収穫は防水の胴長をはき、ひざをついて行う重労働。
きれいに洗う
せり田のわきにある洗い場で根っこの泥や黄色くなった葉などをきれいに洗い落とします。
仙台せりとして出荷
洗い終えたら束にして、毎朝出荷します。仙台せりが市場に出回るのは、おおよそ8月末〜翌4月末まで。
名取は昔からせりの一大生産地でしたが、せり鍋は地元でもそれほどメジャーな食べ方ではなかったそう。しかし2014、2015年の仙台鍋まつりで2年連続グランプリ、さらに2016年のニッポン全国鍋グランプリで優秀賞、審査員特別賞、協賛社賞の3冠を獲得してから一挙にブームに。 せりたっぷりで、根、茎、葉、それぞれの味わいを感じられるのがこの鍋の魅力です。根っこはせん切りごぼうのようなジャキジャキとした歯ざわりで、ほんのり土の香りがします。
せり鍋の材料
せり鍋の具材。せり鍋セットにはこのほか、だしパック、昆布、たれとレシピがつきます。
鶏肉から煮る
レシピどおりにスープを作り、鶏肉を入れます。うまみたっぷりで臭みのない宮城県産「みちのく森林どり」が大好評。
せりの根を加える
鶏肉の色が変わったら、まずはせりの根の部分だけを加えます。少ししんなりするまで30秒ほど煮ます。
葉と茎を加えて完成
茎と葉は、しゃぶしゃぶ感覚でサッとスープにくぐらせる程度がおすすめ。残ったスープでシメのそばやご飯も!
東北の空の玄関口ともいえる仙台空港を擁する名取市。車なら仙台駅から15分ほどで名取市に入ります。高台の熊野那智神社からは名取平野と名取川、閖上港までを見渡すことができます。
東日本大震災では津波の大きな被害を受けましたが、名物ゆりあげ港朝市も復活し、せりとあわせて海の幸も山の幸も豊富に楽しめる名取市が戻りつつあります。
せり鍋は、地元のお客さんにも大人気なんですよ。
浜やで厳選した朝どれのせりと、うまみたっぷりの宮城の地鶏・森林どりのおいしさを、もっといろいろなところに届けたい!